下の歯が前に出ていると、かみ合わせが悪いため食べ物をしっかりとかみ砕きにくく、下の歯が長持ちしにくい場合もあります。息がもれるため、発音がうまくできなかったりもします。
厚生労働省によると3歳児検診で年間約4万~5万人(4~5%)が該当するといわれています。
大抵は「永久歯が生えるまで様子を見ましょう」といわれますが、自然治癒する割合は1割に達しません。
小学生上級生以降になって、頭にベルトを巻き下あごを押さえつける「チンキャップ治療」などが試みられますが、子どもへの負担が大きいです。
そこで最近注目されているのが、幼児のうちに改善させる「ムーシールド」による治療法です。
寝ている間、口に特殊なマウスピースを装着する方法です。
受け口は舌の位置が低く、下あごを前に押し出すように筋肉の圧力が働きます。
マウスピースの装着で舌の位置を上げ、口の周りの筋肉を正常化することで、上あごの成長を促し、下あごの成長を抑えます。
日本大学歯学部講師で「調布矯正歯科クリニック」院長、柳澤宗光さんが約20年前に考案しました。
対象年齢は3~6歳。装着は寝ている間だけで済みます。柳澤さんは毎年20~30人の子どもを治療してきましたが、6ヶ月~1年で効果が表れ、約9割で改善が見られました。3年前に米国で注目されたことから国内でも見直されました。